羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

晴れ、時々くらげを呼ぶ

晴れ、時々くらげを呼ぶ (講談社文庫)

 

優しくて暖かい小説です。

単行本で読んでいましたが、表紙が変わっていて、可愛らしかったので読みました。

良い読書でした。

様々な実在する小説が会話に出てきていて、知っている人はニヤけてしまう。チョイスが良い。

 

タイトルのクラゲを呼ぶというのは理不尽から身を守るためでもあり、現実と戦うことでもある。こういう現実を生き抜くためにファンタジー要素を入れたのは受け入れやすかったです。

登場人物、それぞれが悩みを持っていて、皆が集まり出してからの団結力と行動力は眩しかったです。

 

人の行動には理由がある。

人に対して様々な思いやりを持つ必要がある。

メッセージがよく届く物語でした。

 

主人公の父親ととの確執を解く方法は味があって良かったです。何気ない会話が繋がってくるとは思わなかった笑

 

 

彼女と出会った。僕の日常は変わった。
純度100%! 小説現代長編新人賞受賞作。

売れない作家だった父が病死してから、越前亨は日々をぼんやり生きてきた。亨は、最後まで家族に迷惑をかけながら死んだ父親のある言葉に、ずっと囚われている。
図書委員になった彼は、後輩の小崎優子と出会う。彼女は毎日、屋上でくらげ乞いをしている。雨乞いのように両手を広げて空を仰いで、「くらげよ、降ってこい!」と叫んでいるのだ。いわゆる、不思議ちゃんである。
くらげを呼ぶために奮闘する彼女を冷めた目で見ていた亨だったが、いつしか自分が彼女に興味を抱いていることに気づく。

自分の力ではどうにもできないことで溢れている世界への反抗。本への愛。父への本当の想いと、仲間たちへの友情。青春のきらきらがすべて詰まった一作。