似鳥鶏先生の最新作は青春モノ。
暗号を解くというミステリー要素があるが、それよりも男女4人が一夏の青春を謳歌している様子が印象的でした。
思春期特有の男のモヤモヤした感情を見事に掘り下げていて、クラスで目立つ清春と目立たない主人公・ライの友情、相互理解していく様子がとても良かったです。
暗号を解くうえで、様々な場所に行ったりして、遊んでいるのはまさに高校生の大切な時間のように思えました。
作品全体的に仕掛けられている秘密や違和感はそのままにして、最後まで読んでいく方が楽しめるのかなと。
最後まで読んだら、青くて苦い、青春の味が感じられます。
真相が明かされて、不思議だった点が繋がっていく様子は見事でした。
壁にぶつかりながらも最後まで諦めなかった、ライの姿に成長を感じられて、眩しかったです。
あの夏、僕は人生と恋の謎にぶち当たった――。 会員が2名しかいないクイズ研究会会長の高校2年生・成田頼伸(ライ)は、クラス内で「じゃない方」と呼ばれている。ライと同じ姓で、野球部サッカー部より人気であるダンス同好会に所属する成田清春(キヨ)がクラスにいるからだ。クラスで「成田君」といえば、キヨのこと。「役立たたない」ことが好きなライと、大学受験に向けて効率重視で「役立つこと」が好きなキヨ。二人は対照的だ。ファミリーレストランで謎解きをしている姉妹に出会い、彼女たちの謎解きを手伝ってあげたライは、「他にも暗号がある。知恵を貸して欲しい」と頼まれる。姉妹と、偶然出会ったキヨの四人で、謎解き手伝うことになり――。 すべての謎が明かされた時、切なさと温かさが胸を満たす、青春恋愛ミステリー。