凪良先生の作品の中では重たい部類に入る物語でした。
流浪の月が好きならば、間違いなく今作も刺さる。自分がそうだった。
主人公・暁海と恋人の櫂。
互いに家族を捨てられない呪縛に囚われている時に出会い、付き合う。
これ以上ない関係だったが、環境や現実問題が2人を離れさせていく。
そんなつもりじゃなかったのに…
互いに道を歩きながらも想いあっているのに、隣にはいない切なさは辛かった。
時の経過は残酷な程に試練を与えていく。
なんて壮絶な人生なんだ。
必死に生きる暁海、櫂。そして周りの人達の葛藤から脱皮を描かれていて、胸が切り裂かれるような痛みがありました。しかし、彼らが選んだ選択は間違いなどではない。
間違いだとしても、後悔しない生き様を見れました。
島の狭い考えに左右されずに、自分が良いと思った風に生きたらいい。間違いなんてあっても、気にしなくて良いんだ。
狭いコミュニティの悪い部分には気が滅入りそうになりますが、暁海の成長した姿を見ると、大丈夫だと安心しました。
自由と不自由、勝ち取るべきはどっちか。
読んでいて、辛いけど引き込まれていきました。
その愛は、あまりにも切ない。
正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。
本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。
ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。
ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。
生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。