羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

クライマーズ・ハイ

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

 

社会人の組織に縛られ、振り回される者達の歯痒さを描くのが上手い。

規模が大きい事故を追うことになった、地元新聞会社の中で起こる様々な葛藤には、暗い気持ちになりますが追いたくなる魅力がありました。

人の底を覗く危うさが逆に惹きつけてきます。

仕事に対するスタンスが違う人との衝突は上司、部下問わず嫌なものだ、

また、実際に働く新聞記者の人もこんな修羅場をくくっているのかなと考えてしまいます。

 

主人公が色々な思惑に絡み取られていく様は歯痒さがありましたが、最後の最後で晴れやかになっていく様は見事でした。

まさに、クライマーズ・ハイといった締めくくりでした。

 

山に登りたくなります。

 

1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。衝立岩登攀を予定していた地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは―。あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。