凄い小説と出会った。表紙とタイトルに惹かれて読んだが、最初から最後まで読むのが止められない。
先が読めない構成、展開、仕掛けが組まれていて、読み終えると込み上げてくるものが…
今作は自由奔放な姉と平凡な弟、双子の関係がキモになっていて、双子の関係は特別で、格別でした。
最初は謎の誘拐が描かれて、なぜ誘拐したのか気になる掴みがあり。
だが、とりあえずそれは置いといて、双子の関係性を小学生から高校卒業までの人生を描かれる。
一体、どう繋がってくるのかと構えていましたが、あまりにも双子の人生を追いかけるのに夢中になり過ぎて、最初の誘拐を忘れていました笑
だからこそ、最後の最後に明かされた秘密には驚かされたし、胸がギュッと締め付けられました。
平凡な弟は自分では気づかないうちに、姉と過ごす波瀾万丈な日々を大切にしていたのだと思うと、もうね。良い双子だよ、本当に。
作者の他作品も読んでいこうと思うくらい、ハマりました。
是非気になった人に読んで欲しい作品です。
クリスマスの夜。
燃え盛る民家。
取り残された少女。
灼熱の地獄に飛び込んだ、一人の男。
炎の中から助け出された少女は、そのまま男に連れ去られた――。新潮ミステリー大賞作家が描く、ある双子の男女にまつわる二十余年の物語。
さみしさが、ぬくもりが、心に触れる傑作青春ミステリ。クリスマスの夜。百キロ以上のスピードで暴走する車を、二台のパトカーが猛追していた。
時は二時間ほど前に遡る。その男は、偶然、火事の現場に遭遇する。家の外で助けを求める母親。二階の窓からは、泣き叫ぶ娘の姿が見える。男はこの状況に運命を感じていた。男が取った行動は、誰も予想しないものだった。燃え盛る家の中へと飛び込んでいったのだ。それから五分足らずで、男は家から出てきた。胸には十歳の少女をしっかりと抱きかかえている。周囲から、歓喜の声がこぼれる。しかし、男が次にとった行動に周囲は唖然とした。
男は少女を母親に手渡さず、車に乗せてそのまま逃走したのだ。