羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

探偵は友人ではない

探偵は友人ではない (創元推理文庫)

 

青春ミステリ作品でもかなり好きなシリーズの2作目。

表紙が単行本から変わっていたが、これはこれで良いですね。

内容としては、前作の探偵は教室にいないに比べて、よりなぜそんな不思議なことが起きるのか、起きた背景を掘り下げる解像度が増していたなと思います。

謎が解けた後にはちょっとモヤっとする感情がありつつも、晴れやかな気持ちになって歩き出せる開放感があって、素晴らしい読後感があります。

登場人物が謎を起こるための舞台装置みたいになっていないのは高感度が高いです。

ミステリとしても込み入った迷路みたいになっていて、どんな真相が待っているのか楽しみに読めました。

個人的に好きだったのは、ミステリ的には1話目のロールプレイ。登場人物の関係的には4話目のfor youです。

 

そして、1番は真史と歩の関係が少し変わっていく様子は魅力的でした。探偵と依頼者みたいな関係でしたが、幼馴染、友人としては寂しい関係だったので、互いに踏み込んでいく様子は青春の良さが詰まっていました。

 

 

学校や街で謎に遭遇するわたしを、
いつも幼馴染みの名探偵が助けてくれる
洋菓子店の暗号クイズや
美術室での奇妙な出来事を解く内に、
ふたりの関係に変化が。
札幌を舞台に贈る青春ミステリ第2弾!

わたし、海砂真史(うみすなまふみ)の幼馴染み・鳥飼歩(とりかいあゆむ)はなぜか中学校に通っておらず、頭は切れるが自由気儘な性格で、素直じゃない。でも、奇妙な謎に遭遇して困ったわたしがお菓子を持って訪ねていくと、話を聞くだけで解決してくれた。彼は変人だけど、頼りになる名探偵なのだ。歩の元に次々と新たな謎――洋菓子店の暗号クイズや美術室での奇妙な出来事――を持ち込む日々のなかで、ふと思う。依頼人と探偵として繋がっているわたしたちは、友人とは言えない。だけど、わたしは謎がなくても歩に会いたいし、友人以上に大切に思っているのに……。札幌を舞台に贈る、青春ミステリ第2弾!