単行本の発売時から気になっていたが、頭から抜けていました。
文庫の表紙が気になって、思い出して読みました。
医師になりたいという憧れから行動を起こしたが、失敗してしまい、夢を見れなくなってしまった少年・有人が離島で再生していく。
医師になりたいと思っていた有人にとっては簡単には拭いきれないトラウマになっていて、環境を変えるのは良かったかなと。
有人が落ち込むのは分かるが、それ以降卑屈になっていく様子は歯痒さがありました。
島に移って、最初は優しさに包まれて変わろうとしていたが、大切な人との別れや、居続けることで島の実態を目の当たりにして、うちにこもっていた時に逆戻りしてしまう。
それでも、トラウマのきっかけになった人物や島の仲間達と話し合い、気持ちを吐き出し合うことで前に進んでいけてホッとしました。
有人がうちにこもって立ち止まっていたところから、いくつかのターニングポイントを経て、最終的には夢を取り戻していく姿は眩しかったです。
真っ直ぐに胸に突き刺してくる内容で、読み終えた後は清々しい気分になりました。
北海道の離島を舞台に、未来を失った少年の再生と成長を描く感動作。
実家は病院で将来の夢は医師。東京で恵まれた中学校生活を送っていた有人は、学校で注目を集めたある出来事で希望を失い、引きこもり生活を続けていた。彼の行く末を心配した叔父の雅彦は、心機一転、北海道の離島の高校への入学を勧める。「海鳥の楽園」と呼ばれるその島で、たった4人の級友と島民に囲まれる日々。東京での暮らしとは全く違う環境に、有人が戸惑いながらも馴染み始めた頃、残酷な別れが彼を襲い……。未来を失った少年の絶望と再生を描く、感涙必至の青春小説。