須賀しのぶ先生の野球小説は素晴らしい。
甲子園出場が悲願とされている公立高校を10年置きにスポットを当てていき、様々な角度から悲願に立ち向かっていて、全てが繋がる最後には胸が熱くなります。主将、バッテリー、マネージャー、監督、外れと揶揄される世代、それぞれが苦しみながら光を掴みにいくのは魅力的でした。
優勝が悲願とされていて、OB会などから期待とプレッシャーを感じるのは辛い。負けてから分かる、後の生徒に任せたくなる切実な気持ちは胸がギュッと締め付けられます。強くもあり、弱い時もある公立野球部の悩みが辛い。
年代で良い選手がいる、いないはある。
有望選手がいない、隙間世代の辛さが描かれていて、腐ってしまいたいところだが、下を向かずやれることをやっていった結果に目頭が熱くなりました。
文武両道の県立北園高校にとって、甲子園への道は遠かった。格下の相手に負けた主将香山が立ち尽くした昭和最後の夏。その十年後は、エース葛巻と豪腕宝迫を擁して戦 った。女子マネの仕事ぶりが光った年もあった。そして今年、期待されていないハズレ世代がグラウンドに立つ。果たして長年の悲願は叶うのか。先輩から後輩へ託されてきた夢と、それぞれの夏を鮮やかに切り取る青春小説の傑作。