周りのように上手く生きられない、何かと対立しないと自我が保てない、平成の時代が生み出した見えない対立構造が描かれている。
ゆとり教育、誰かと比較するのではなく自分らしさを、生きがい、やりがい、時代の流れによって変わらざるを得ない世の流れに翻弄される若者の胸中を掘り下げている。
読んでいて、胸が苦しい。息が詰まるくらい切実に。
心理描写に長けてる朝井リョウ先生が書いてるからなおさら。
最初から最後まで緩めることなく、読者の首を絞めてくるような圧迫感がありました。
自分の生きがいを見つけられない少年が大人になるまでを描いていて、残酷なまでに痛々しかった。
また、その男の周りの人達の視点が変わり、様々な悩みを抱えながらも、生きてる姿を感じ入るものがありました。
対立、人は様々なものと比べるのをなくさせられたら、自分から生きがいを見つけないといけないのは負の連鎖だなと。
平成に生まれた自分にとっては、見に詰まる物語でした。
誰とも比べなくていい。
そう囁かれたはずの世界は
こんなにも苦しい――「お前は、価値のある人間なの?」
朝井リョウが放つ、〝平成〟を生きる若者たちが背負った自滅と祈りの物語
植物状態のまま病院で眠る智也と、献身的に見守る雄介。
二人の間に横たわる〝歪な真実〟とは?
毎日の繰り返しに倦んだ看護士、クラスで浮かないよう立ち回る転校生、注目を浴びようともがく大学生、時代に取り残された中年ディレクター。
交わるはずのない点と点が、智也と雄介をなぞる線になるとき、
目隠しをされた〝平成〟という時代の闇が露わになる。
今を生きる人すべてが向き合わざるを得ない、自滅と祈りの物語。