羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

六畳間ミステリーアパート

六畳間ミステリーアパート(新潮文庫nex)

 

癖のある管理人と真面目に悩む田中さんがアパートに住む人、それぞれの悩みに向き合っていく。悩みが切実なものばかりで、読んでいて感情移入してしまう場面が多々ありました。

 

どの話も変化していく住民の様子が晴れやかで、読んでいて胸に訴えてくるものがありました。悩んで、停滞していた時間を動かしていくのは大変なことだが、しっかり過程を描いていたので各話が終わるごとにジーンと胸が暖かい気持ちになれました。

登場人物の掘り下げが良いので、愛着が湧いてしまいます。

 

ミステリ要素が少しあるくらいなのがまた良い。

 

田中さん自身が迷いや悩みを抱えながらも他人に寄り添う優しさがあって、それは押し付けがましくないのが長所でした。

 

管理人にも事情があり、積み重ねがあるのが分かるが消化不良みたいな感じがしました。

ただ、他人に想いを押し付けるのはな…

 

単巻完結だと思いますが、続きも読みたい気持ちがあります。

 

ことだま荘の秘密、あなたには解けますか? 家賃わずか一万二千円の格安アパート、ことだま荘。ここに暮らして奇妙な管理人が提示する謎をとけば、どんな悩みも解決するという――。家族をめぐる問題を抱えてやってきた田中は、ネットで炎上した歌姫、幽霊と同居する男、元・詐欺師の夫婦など、曲者ばかりの住人たちと交流しながら謎の答えを探し、自らに向き合っていく。少し不思議でハートウォーミングな新感覚ミステリー。