羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

11文字の檻: 青崎有吾短編集成

11文字の檻: 青崎有吾短編集成 (創元推理文庫)

 

素晴らしい短編集でした。青崎有吾先生の作品が好きな人ならば読んで損はしない。各所に収録されていた短編を1冊にまとまっているなんて、贅沢過ぎた。

最後の作者解説も面白い。

表題作の過酷な環境においても思考を止めず、考え続けるのは良い。最後の最後まで気になりました。

 

他の話も読み応えがあり、夢中になりました。

実際に起きた事件をモチーフにした加速していくはどこに目を付けるのか注目でしたが、そこに行き着くのかという驚きが気持ち良かったです。

館モノの噤ヶ森の硝子屋敷は真相に呆気に取られて、つい笑ってしまうくらい不意を突かれました。

恋澤姉妹は以前に読んだことがあったが、再び読んでみると、より話に入れた気がします。オチが痛快。

 

キャラと謎のバランスが非常に良く、作者の良さが感じられる内容ばかりで、非常に満足です。

 

大事件に遭遇したカメラマンが感じた違和感を描く「加速していく」、全面ガラス張りの特異な屋敷での不可能殺人の顛末「噤ヶ森の硝子屋敷」、人気コミックのノベライズ「前髪は空を向いている」、どんでん返しの切れ味鋭い「your name」、百合小説として評判となった「恋澤姉妹」などに、力作書き下ろし「11文字の檻」を加えた全8編。『体育館の殺人』で衝撃のデビューから10年、著者の集大成ともいえるノンシリーズ短編集。