壮絶な物語を浴びたようでした。
SF要素がありつつも本筋は息子と父の関係、ダンサーとしてのあり方が問われていたのかな。
主人公がダンサーとして致命的な怪我をして、AIに頼ることに。その過程で、人間の動きをAIに学ばせるために必要な人間性と再現性が必要なことが分かる。
しかし、対比して主人公の祖父が認知症になり、本来の姿から離れていく。残酷な現実と向き合うために、力を振り絞る主人公の姿は素晴らしかったです。
家族介護のシビアな現実も描き、苦境に立たされながらもパートナー、仕事仲間に支えられて踏ん張れて良かった。
途中、読むのが辛くなりますが、最後まで見届けなければと思いました。だって、献身的になっていくにつれて、光が刺してくるのだから。
伝説の舞踏家である父の存在を追って、身体表現の最前線を志向するコンテンポラリーダンサーの護堂恒明は、不慮の事故によって右足を失い、AI制御の義足を身につけることになる。絶望のなか、義足を通して自らの肉体を掘り下げる恒明は、やがて友人の谷口が主宰するダンスカンパニーに参加、人のダンスとロボットのダンスを分ける人間性の【手続き/プロトコル】を表現しようとするが、待ち受けていたのは新たな地獄だったーー。SF史上もっとも卑近で、もっとも痛切なファーストコンタクト。『あなたのための物語』「allo, toi, toi」『BEATLESS』を超える、10年ぶりの最高傑作。