読んでいて、胸が詰まる思いでした。
タイトルと作品のテーマに惹かれて読みましたが、性にまつわることから始まり、個人の問題に踏み込むのが魅力的でした。
主人公・塚森裕太が同姓愛者だと周囲にカミングアウトし、様々な人に影響を与えていく。
苦しむ人達の葛藤を密に描いているから、読んでいて寄り添いたくなる。苦しみから抜け出していく、跳ねる瞬間というのが非常に美しく思いました。
様々な視点から見る塚森裕太と実際の塚森裕太は乖離していて、タイトル回収する最後は天晴れでした。
誰だって仮面を持っているが、仮面が素を上回ると苦しい。
ログアウトした結果、様々な痛みが伴ったが、見える景色が変わったのは良かったのだろう。
救いで締められていたのは安心しました。
高三のバスケ部エース・塚森裕太が突然「ゲイ」だとSNSでカミングアウトした。騒然とするも反応は好意的。しかし同じ学校の隠れゲイの少年、娘をレズビアンだと疑う男性教師、塚森ファンの女子高生、塚森を崇拝する後輩は、彼の告白に苦しみ、葛藤する。それは「本当の自分」になるはずだった塚森も同じだった──。痛みと希望の青春群像劇。