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読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

フォックス家の殺人〔新訳版〕

フォックス家の殺人〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

災厄の町が非常に良かったので期待値が上がってましたが、今作も見事なミステリでした。

最後の最後まで気が抜けない物語でした。

今作は過去の状況証拠が揃っていて、裁かれた事件を掘り起こしていき、真実へ辿っていくというもの。状況を追っていき、事件を解剖していくような細かな推理が堪らなく好きです。

エラリイに依頼をした人達もライツヴィルという町に苛まれていて、シリーズというのがよく分かる。

 

真相が明らかになったときのやるせなさはビターです。その可能性を勝手に排してしまったというのが悔しい。

入り組まれた迷路の脱出先が希望とは限らないと痛感しました。

 

故郷ライツヴィルに帰還した戦争の英雄デイヴィー・フォックス。激戦による心の傷で病んだ彼は、妻を手に掛ける寸前にまで至ってしまう。その心理には、過去に父ベイヤードが母を毒殺した事件が影響していると思われた。彼を救うには、父の無実を証明するほかない。相談を受けたエラリイは再調査を請け負うも、当時の状況はことごとくベイヤードを犯人だと指し示していた……名探偵エラリイが十二年前の事件に挑む。新訳決定版。