羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

仔羊の巣

仔羊の巣 (創元推理文庫)

 

シリーズ2巻目。

1巻に出てきた人達も出てきつつ、坂木の同僚や様々な人が新しく登場してくる。

何度も出てきて、坂木と鳥井に絡んでくる人達の優しさは良い。生活に根付いているところにシリーズモノの良さが感じられます。

 

今回も未来に、現状に迷える人達の苦しみを描いていて、彼らが暗闇から抜け出していく様子が見事でした。

そんなところに目を付けているのかと、鳥井の着眼点に驚きます。視野が広くて、鳥井が真実を話すと見方がガラッと変わります。

人の敏感なところ、見失ってしまう視点を突いていて、見事です。

坂木と鳥井の関係にも少し触れていて、危ういバランスで保っているなと。

 

皆、優しい一面を持っていて、様々な形で見せるのだなと胸が暖かくなります。

 

現実と向き合っていく作品で、素晴らしい。

 

季節はめぐり、僕、坂木司と鳥井真一のあいだにも、ゆっくりと変化の兆しは訪れていた。ひそやかだが確実な羽ばたきの予感、それが僕を不安にさせる。鳥井がひどい風邪をこじらせたある日、僕は同僚の吉成哲夫から、同期の女性の様子がおかしいと相談される。病気の鳥井に代わって、馴れない探偵役をつとめることとなった僕は……。また、木工教室を開くようになった木村栄三郎さんのもとで出会った男性と地下鉄の駅構内で見掛けた少年が抱える悩み、そして僕自身に降りかかる悪意の連続、それらの謎を鳥井はどう解いていくのか。坂木と鳥井、2人に加わる新たな仲間と風。ひきこもり探偵シリーズ第2弾。著者あとがき=坂木司/解説=有栖川有栖