羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

この世界に i をこめて

この世界に i をこめて (メディアワークス文庫)

人生に希望を見いだせずにいる人に届いて欲しい作品でした。

iというのは虚数で、愛でもあって、小説でもある。現実に生きられない少年、少女の虚無感加減が絶妙でした。人間生きていたら、たまに考えてしまう生きる意味というのは人によって違うから、生きてる実感を得られない時間が長いと辛いよね。

久しぶりに読み返しましたが、最後の小説を書くということと向き合っていく姿勢は良い。

世界を、自分を変えるためには動くしかないというのは確かだなと。

 

生きづらさを抱え、退屈な高校生活を送る僕に、ある日届いた1通のメール。“現実に期待なんかしてるから駄目なんだよ”でも、それは届くはずのないメール。送り主は吉野紫苑。彼女は、屈折した僕の唯一の女友達で、半年前に死んでしまった天才小説家だった。あり得ないはずのメールのやりとりから、僕は失った時間を取り戻していく。やがて、遺された吉野の最後の言葉に辿りついた時、そこには衝撃の結末が待っていた―。