羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

公務員、中田忍の悪徳 (6)

公務員、中田忍の悪徳 6 (ガガガ文庫)

アリエルが徐々に出来ることが増えて、微笑ましい。人間社会で生きるのか、元の世界に戻るのかどう落とし込むのか気になる。

今回、とことんアリエルにアリエルに現実を突きつける忍の対応は酷のようだが、親切心からくるものだから仕方ない。

ギャグみたいな日常からの落差が激しい。

 

人とアリエルの寿命の違い、戦争の歴史、規模が広がってきて、いよいよ物語が佳境に入ってきた。

社会とは何か、人の世の不条理を突きつけたうえで、アリエルに生きる術を身につけて欲しいのだろう。

 

忍も職場で変化が生まれていて、そこも大事。

 

アリエル、忍達はどうなるのか気になる。

別々の道を行くのか、共に歩むのか。

終わりは近い。

 

迷宮で異世界エルフは世界の真実を知るーー

「オークの島ですか?」「いや、大久野島だ」

中田忍の意志に自ら背き、晴れて中田忍との同居を勝ち取った異世界エルフ、河合アリエル。
自動車の運転を体得し、パートタイマーとして職に就き、少しずつ確実に現代社会との融和を進めつつあるアリエルの姿を見る忍の眼差しは、決して優しいばかりではなかった。

そして明らかになる、新たな耳神様伝説の残痕。
忍たちの暮らす地に点在する、両耳が欠けたいくつもの古いお地蔵様。
耳神様あるところに現れる、謎の老人と大きめのコーギー犬
アリエルの切なる願いに応えた忍は、夏の陽炎を捉えるべく、両手にヘラを構えて焼きそばを炒める。

鍵を握るのは、旧日本軍の負の歴史が佇む”東京第二陸軍造兵廠、忠海製造所”。
あるいは”毒ガスとうさぎの島”と呼ばれる国民休暇村広島県竹原市忠海町、大久野島
迷宮の先で異世界エルフが目にする、世界の真実とはーー

「ここは、天国ではーーありませんでした」

幸福な結末を踏み越えて、傷付け傷付き合う社会派現代ファンタジー、第六幕。