羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

サエズリ図書館のワルツさん1

サエズリ図書館のワルツさん1 (創元推理文庫)

素晴らしい作品でした!

今、自分が読書する意欲が落ちているタイミングで巡り会えたのはラッキーでした。

単行本が気になっていたので、良いタイミングで文庫化してくれました。紙の書籍が貴重な世界にある図書館の物語。

現代はまだかもしれないが、徐々に近づいているであろう未来を経験出来て、良い読書でした。

電子書籍の普及、情勢の変化、人類の発展で良いことかもしれないが紙の読書が好きなんだよなぁ。

この作品の時代では、書籍への扱いが未知との遭遇だったり、値段が高いものになっていて、本について考えたくなるメッセージが詰まっていました。

悩める登場人物達が本の良さを知り、前向きになっていくのが良いです。穴から抜け出していく感じがあります。

 

読書はしなくても、生きていけるが、辛い時の読書は人生を支えてくれる。絶望している時こそ、本に触れたくなるのは分かる〜と頷くばかりでした。

広く知られて欲しい作品でした。

続きも楽しみです。

ワルツさんの存在は大きくて、この設定でワルツさんがいるのが完璧なんだよなぁ。

 

世界情勢の変化と電子書籍の普及により、紙の本が貴重な文化財となった近未来。そんな時代に、本を利用者に無料で貸し出す私設図書館があった。“特別保護司書官”のワルツさんが代表を務める、さえずり町のサエズリ図書館。今日もまた、本に特別な想いを抱く人々が、サエズリ図書館を訪れる―― 。本と無縁の生活を送っていた会社員、娘との距離を感じる図書館常連の小学校教師、本を愛していた祖父との思い出に縛られる青年など、彼らがワルツさんと交流し、本を手にした時に訪れる奇跡とは。書籍初収録短編を含む、傑作連作短編集。