羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

山口つばさ短編集 ヌードモデル

山口つばさ短編集 ヌードモデル (アフタヌーンコミックス)

 

ブルーピリオドみたいな真っ直ぐな青春ではなく、人の弱さと脆さ、性や生きづらい境遇、感情がドロドロしている短編集でした。

表題作のヌードモデルが中でも、明るいものでした。

罰ゲームから始まる関係はやはり良いな。

 

性に悩まされる少年を描いた"おんなのこ"は、振り返れば細かなところに伏線を張っていて、上手い。また、女を軽く見ていた男がしっかり現実に直面するのは良い落としどころ。

 

最後の"神屋"は正直、一回読むだけでは足りない。情報を噛み砕かないと飲み込めない結末。怪しげなホストに狂わされたり、救われる、かと思いきや…な結末にままならないなと。

 

素晴らしい短編集でした。

 

アートに打ち込む若者の熱さを描き、話題を呼んだ超人気作『ブルーピリオド』山口つばさの原点にして新境地!
ひとり美術に打ち込むクラスの変わり者・夏目と罰ゲームで彼女を落とすためヌードモデルに手を挙げた男子高校生・百瀬の交流を描いた表題作のほか、女性のふりをするいたずらで承認欲求を満たす矢田が事件に巻き込まれる「おんなのこ」、吸血症のホストに出会った自己評価の低い女医の物語「神屋」の3編を収録。性と生きづらさなど、山口つばさの『ブルーピリオド』に通じるところと、まったく別の表現を堪能できる初めての短編集です。