羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

サーチライトと誘蛾灯

サーチライトと誘蛾灯 (創元推理文庫)


虫にまつわるミステリー。

(あらすじ)

昆虫オタクのとぼけた青年・エリ沢泉(えりさわせん。「エリ」は「魚」偏に「入」)。昆虫目当てに各地に現れる飄々(ひようひよう)とした彼はなぜか、昆虫だけでなく不可思議な事件に遭遇してしまう。奇妙な来訪者があった夜の公園で起きた変死事件や、〈ナナフシ〉というバーの常連客を襲った悲劇の謎を、ブラウン神父や亜愛一郎(ああいいちろう)に続く、令和の“とぼけた切れ者"名探偵が鮮やかに解き明かす。第10回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む連作集。


タイトルと表紙に不思議と惹かれるものがありました。

主人公が昆虫好きで好奇心旺盛な性格なので事件に対しては独特のスタンスで挑んでいたように思う。

さまざまなトンチンカンのような会話の中に事件の鍵になることが入っていたのは良かった。後になって、意味を知るという。


短編集で一つ一つの話展開がそれぞれ違って、楽しみ方がたくさんあります。

中でも特に好きだったのは、ホバリング・バタフライですね。

事件を追いかけていくスリルと真実に潜む神秘性が特殊な余韻を生み出していました。

あとは、ナナフシの夜の悲劇のきっかけが頭に残ります。


キャラクターの個性やミステリーの組み立て方が堅実で、これからが楽しみな作家ですね。