単行本刊行時から気になっていたが、時間が経ち文庫化されたので読みました。
面白いだろうとは思っていましたが、想像以上に胸にグッとくるものがありました。
序盤で世界観や登場人物の背景をしっかり描かれているからこそ、中盤以降の切ない三角関係とその側にいた娘の全員が鬼という存在に歯車を狂わされていく様子が辛く感じられました。
心理描写が巧みで、想いは決して揺るがないことが伝わってきました。
また、残酷な面もあるが美しいと思う気持ちが強かったです。
伏線回収が上手くて、物語に惹き込まれました。
勘太のこれからの旅が気になって仕方ないです。
最後のエピソードは最終巻に入れるものでもおかしくないですが、読めて嬉しいです。
江戸時代、山間の集落葛野には「いつきひめ」と呼ばれる巫女がいた。
よそ者ながら巫女の護衛役を務める青年・甚太は、
討伐に赴いた森で、遥か未来を語る不思議な鬼に出会う――江戸から平成へ。
刀を振るう意味を問い続けながら途方もない時間を旅する鬼人を描いた、和風ファンタジー巨編。デビュー作にして絶賛の嵐だった話題作が、早くも文庫化!