羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

競歩王

競歩王 (光文社文庫)

 

競歩という競技は知ってはいるが、どんな気持ちで歩いているのか、何を目標にやっているのかを知らなかったが今作を読めば競歩というのは我慢と爽快感が隣り合わせの良い競技なんだなと勉強になります。

 

最高のスポーツ小説でした。競歩という競技について知ることが出来たし、主人公達の崖っぷちに立っている状況からの変化は目を見張るものがありました。

作家・忍と競歩選手・八千代が互いに高みを目指しているからこそ、上手くいかない現実に負けそうになる。2人が出会って、互いの悩みや願いを共有していくうちに絆が生まれていき、それぞれが自分の目指すものに向き合っていくのは魅力的でした。

 

燻っている人や何かきっかけを欲している人によく突き刺さる物語でした。人生を切り開いていくのは、結局は自分の意思なんだなと。

 

上手くいかないこともあるが、それでも生きていかないといけない。

何か目標があれば、人は頑張れるのだ。

 壁にぶつかりながら生きていく人は大変だけど、その分、強くなるのだ。

 

かつて「天才高校生作家」の触れ込みで華々しくデビューした榛名忍は今、燻っていた。そんな折、東京五輪の開催が決まり、担当編集者からスポーツ小説を勧められる。なりゆきで競歩の小説を書くことになり、大学の陸上部の練習を見に行くと、ただ一人の競歩選手・八千代篤彦が黙々と歩き続けていた――。競歩の面白さを余すところなく描いた、青春小説の傑作!