似鳥鶏先生の発想と機転には驚かされるばかり。
ユーモアとシビアな面を使い分けて現実を突きつけてくるのは健在で、今作も見事に作者の術中にハマり、心地よいです。
泌尿器科に名探偵という組み合わせは想像外過ぎて読むのが楽しみでした。着眼点は珍しいですが、事件の背景は現実味があって、ゾッとさせられます。話の膨らみから収束までの流れが丁寧で良かったです。
泌尿器科に訪れるというのはどうしても後ろめたいものがある。そこを掘り下げるだけでなく、医師として患者の抱えている嘘や病気の背景には考えさせられる社会問題も孕んでいて勉強になりました。
登場人物達のキャラ付けが濃いですが、薄い主人公も含めて医師としての矜持を感じられて素晴らしかったです。
医療現場としてのリアルを描きつつ、ミステリとしての読みごたえがある作品でした。
泌尿器科の勉強になり、物語としても魅力的でした。
是非ともシリーズ化してほしい作品でした。
「なんでこんなになるまで来なかったんですか…」泌尿器科医・鮎川のもとには今日も多くの患者が訪れる。中には、羞恥心から嘘をついたり、人に言えない秘密を抱えている人も多く……。泌尿器科ならでは多様な謎に真摯に向き合う鮎川。元ヤンキーの看護師長、忍者のようなソーシャルワーカーなど心強い仲間たちとともに病と事件の早期解決に挑む!