発売時から表紙やあらすじで気になってはいたが、手が出せてなかった。
もう勢いで読もうと思いきって買いましたが、満足出来る作品でした。
探偵に弱い人からすると、今作の探偵ポジの草壁が魅力に見えるでしょう。
飄々と事件を探っていく振る舞いが良い。
手が出せなかった原因である、鉄道ミステリーという読み慣れていないジャンル。
鉄道に詳しくなくても楽しめるか心配でしたが、問題なく楽しめました。
時代背景を感じる価値観や犯行動機で、その当時の人からすると自然な考えだったんだなと、ミステリー以外の部分でも惹きつけられました。
なぜ、事件が起きるのか。
一体、誰が犯人なのか。
ミステリーとしても事件の展開、調査、解決が綺麗に繋がっていて、良かったなと思います。
最初から最後まで飽きさせることなく、物語が進んでいくのは素晴らしい。
続きも読みます。
明治12年晩夏。鉄道局技手見習の小野寺乙松は、局長・井上勝の命を受け、元八丁堀同心の草壁賢吾を訪れる。「京都―大津間で鉄道を建設中だが、その逢坂山トンネルの工事現場で不審な事件が続発している。それを調査する探偵として雇いたい」という井上の依頼を伝え、面談の約束を取りつけるためだった。井上の熱意にほだされ、草壁は引き受けることに。逢坂山へ向かった小野寺たちだったが、現場に到着早々、鉄道関係者が転落死を遂げ……。「このミステリーがすごい! 」トップ10にランクインした、鉄道ミステリの傑作! (単行本『開化鐵道探偵』改題・文庫化)