表紙の躍動感良いね〜
忍とアリエルの生活が根づいてきた頃にやってくる、忍の限界。最初から今まで、ありとあらゆる可能性を想定して、未知のエルフと生活を送ってれば、そうなるか。
一から百まで細かく、考え続けて、仕事や日常が乱れないわけがない。
凡人な忍だからこそ頑張り過ぎてしまう。
そんな時こそ、周りに頼る。
部下の一ノ瀬におはちが回るのは自然か。
逃避しようとする忍に一ノ瀬がビシッと言えるあたり、良い部下だ。
雨降って地固まるというところ。
アリエルが成長して、忍達も覚悟が固まってきて、どうなる。
中田忍の苦悩。物語は謎の限界へと向かう。
謎のメッセージとともにもたらされた“異世界エルフ”アリエルの身分を公的に証明する書類の数々。
多くの問題を解決し、忍の目指す異世界エルフの社会的自立を大きく助けてくれるはずのそれは、同時に『公的機関のデータベースを自在に操り、インターネット通信を常時監視しているかの如き、超越的な謎の監視者』の存在を示唆するものでもあった。
浮き彫りとなった異常を前に、家族を守るべく戦線を離脱する徹平、遠ざけられた由奈、空回りする環、じっと見守る義光。
そして、アリエルを送り出すべき現代社会もまた、中田忍を苦しめる。
いち現代人として、いち地方公務員として、目を逸らすことのできない人類の闇が、アリエルの自立を目指す忍の前に横たわる。そして、ある真夜中。
完全体異世界エルフの装いとなり、己の前に立つアリエルを前に、忍はぽつりと呟く。「さよならのためか」
「ハイ」
敵は現実。
逃れ得ぬ現実。
夕闇迫る江の島シーキャンドルの頂上で忍を襲う、前代未聞の「悪徳」とは。打ち寄せる新たな波紋は、忍から何を奪い、何を与えるのか。
異世界エルフ×地方公務員×群像劇、開花の第四幕!!