羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

アリアドネの声

アリアドネの声 (幻冬舎単行本)

シンプルに結末が気になる作品でした。

目が見えない、耳が聞こえない、話せない、障害を抱えた女性が地下に取り残されている。しかも時間制限がある。こんなスリリングな状況をどう切り抜けるのか気になって仕方ない。状況的にドローンで誘導するしかない上に障害が多々あり、ハラハラドキドキしました。

 

救出することになった、主人公・ハルオは兄を救えなかった過去を抱えていて、兄の口癖に縛られている。無理だと思ったらそこが限界。確かにそうかもしれないけど、限界は人によって違うし、言われた側も飲み込めない場合もある。その口癖によって、ハルオは辛いことを飲み込んだり、恨みを買ったりしてしまう。しかし、決死の救出劇で見せる変化はグッときました。言葉の解釈も人によって違い、呪いだと思ってた口癖もガラッと見方が変わる解釈には胸が暖かくなりました。

 

現実色々あるけど、勇気が貰える作品でした。

 

今作の結末は是非読んで確かめて欲しい。そうなるのかとなるだろうから。

 

救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを製作するベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)して活動する中川博美だった――。
崩落と浸水で救助隊の侵入は不可能。およそ6時間後には安全地帯への経路も断たれてしまう。ハルオは一台のドローンを使って、目も耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。