羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

君と漕ぐ2 ながとろ高校カヌー部と強敵たち

君と漕ぐ2: ながとろ高校カヌー部と強敵たち (新潮文庫nex)


1巻が怒涛の展開だっただけに2巻は緩やかに流れ行きつつ、ところどころに刺さるところが混じっていた。


最後は恵梨香が悔しさを覚えて、これまでとは違う顔を出してきて、これからの活躍が楽しみ。


部員達がそれぞれ、悩み、動いていくのかが見えてきて、これからの指針みたいなものが描かれていたと思う。

あの人には負けたくない、隣に並びたい、自分の腕を磨きたい、心の揺れ動きが悲しいほど現実的だった。



これから、カヌーという技術が求められるもので、それぞれがどんな輝きを見せるのか、気になります。

さよならの言い方なんて知らない。

さよならの言い方なんて知らない。 (新潮文庫nex)


角川スニーカー文庫で出版された、「ウォーター&ビスケットのテーマ」を改稿、改題し、単著として新潮文庫nexで再デビューすることに。


色々、思うところがあるが内容には関係ない。


どこが変わっているのかは詳しくは思い出せないが、ページ数が少なくなっていて、先生特有の文章が際立つように思う。


凄い弱気で。だからこそ強気になれる。そんな不思議な少年・香屋が小さい頃からの知り合いの少女・秋穂とふとした手紙をきっかけに架見崎という街に移されて…


架見崎という街は戦争を起こさないといけないように仕向けられている。そして、死んだら現実に戻れる。

そんなの確かめられるはずもなく、香屋は頭を使い、臆病を飼いならし、秋穂と協力し、架見崎という街と戦うために足掻く。

香屋は頭が切れるが、戦闘の矢面に立たず、裏で暗躍するタイプで非常に好みな主人公像。ここまで弱気だと逆に長所に見える不思議。

秋穂は香屋を理解していて、意思疎通が離れていても取れて、頭も冴える。優秀なサポーター。


香屋と秋穂の旧友のトーマは掴めないタイプで香屋に勝ちたがっている。


香屋、秋穂、トーマが絡み合うのが魅力ですね。


まずは舞台設定とキャラ紹介といった無難なところかと見せて、最後に…



面白い作品なので、気になる方は是非。

夢に現れる君は、理想と幻想とぼくの過去

夢に現れる君は、理想と幻想とぼくの過去 電子書籍特典付き (講談社ラノベ文庫)


完全に作者のファンなので、作者買い

キャラの会話や空気感、関係性が絶妙になされていて、楽しく読めました。

主人公があることを境にダメンズになり、友人の家でお世話になるエリートニートになる。

そんな主人公・楓が初恋相手・霧崎と過去にやり残したことを夢の中でこなしていく。


一見、重くなりそうな話が、ところどころにクスッとさせられるセンスが混ぜられていて、中和されます。ニートという設定をこんなに上手く扱えるものなのか笑


主人公が色々な後悔をやり直していき、最後に初恋相手としっかりけりをつけられて、踏ん切りがつく最後で良かったです。


主人公周りの人達に悪い人がいなく、優しい空間になっていて、作品全体的に素晴らしかったです。

世界は愛を救わない

世界は愛を救わない (講談社ラノベ文庫 え 1-2-1)


主人公・五郎は倫理的に

幼なじみの美香は世間的に

幼なじみの貫地は社会的に

それぞれ、抱えている愛がある。

それは簡単に人には言えない秘密。

だからこそ、秘密を共有し、互いを認識することで落ち着き、仲が良く固まる。


最初は軽い語り口で、コミカルな会話が目立ち、軽い作風なのかなと思ったが、五郎達が目指しているものが見えていくことで、のしかかってくる愛の壁。


悩み、苦しみ、それでも前に進もうとする、五郎達は立派に映りました。



最後は苦いような、晴れやかなような、受け取り方は人それぞれですね。



良い作品だと思いました。

ハル遠カラジ3

ハル遠カラジ (3) (ガガガ文庫)


ハルが様々な経験をしてきて、自分で悩むようになった。そんなハルが心配であれこれ手を出したくなるテスタから母性を感じる笑 というか女性なんですねテスタ…

ハルのテスタ離れが難しいが、テスタのハル離れの方が難しいような気がしてきました。そして、二人の旅の終わりがどうなるのか心配です。


今回、ハルが悩んでいたことは境遇を考えると納得出来てしまうのが悲しいです。どうしても悪い方向に進んでしまう歯がゆさが付き纏うけど、どうにか振り払って、ハルとテスタが笑う終わりになってほしいです。

むしめづる姫宮さん

むしめづる姫宮さん (ガガガ文庫)


悪い虫の魂が思春期の高校生に憑いてしまう町が舞台で、次々と不思議なことが起きていく。

主人公・有吉は虫に詳しく、頼りになりそうな少女・姫宮に悩みを打ち明ける。


虫が題材にしているから、変化球みたいな奇策を練る作品かと思ったら、少年、少女の悩みに付け込んだ虫を取っ払うためにまっすぐ悩みにぶつかりにいってて、青春のど真ん中をえぐってました。あまりの輝きによって、無事死にました。


終始卑屈な主人公だった、有吉も最後本音が説かれたら一変します。とても等身大な少年で愛着が湧いてきそうです。虫好きの姫宮も有吉と一緒ならば、生き生きしていて、魅力的な少女でした。



この作品は夏の間に読んでもらいたいです!

誰も死なないミステリーを君に2

誰も死なないミステリーを君に 2 (ハヤカワ文庫JA)


1巻から時間が空いたが無事に2巻が出てくれて嬉しいです。1巻で心を掴まれた僕としては待ち遠しかった。続巻が発表された時は舞い上がりましたよ。


さて、内容としては、2巻は1巻に比べて、難易度が上がっているように思いました。

死線は消えたり、また浮かんだり、移ったり、レベルが上がったりと二転三転もする状況に振り回されながらも、それでも誰も死なないミステリーを作ろうと奮闘する二人には脱帽です!

何度も検証して、ゆっくりと真実に近づいていく展開はハラハラしても、先が気になって仕方がない内容になっていました。



様々な趣向を凝らして作られていると感じて、読んでて楽しかったですし、謎に包まれた状況に惹かれました。



これからも続いてほしいと思うシリーズです。


あと、ヒマゴリラの扱いかたは面白かったです笑 そして、佐藤の名前が気になります。明かされるのか楽しみにしたいです。