波よ聞いてくれというラジオをメインにした作品にハマっていたら、本屋で推されている本作を見つけました。
タイミングが良すぎて怖いくらいですが、即読みました。
素晴らしかったです。
心と顔に傷を負い、下を向いて生きていた主人公・小松夏海がひょっとした縁でラジオアシスタントになり、様々な人やリスナーと繋がっていき、蘇る物語です。
ラジオって心の拠り所にもなりえるんだなと思いました。
不安な時や落ち込んでいるときにラジオに話を聞いてもらえるような包まれた気持ちになれるのかもしれませんね。
この作品では夏海だけではなく、様々な葛藤や悩みを抱えている人達が迷いながらも、自分が進むべく道を見つけていくのかじっくり描かれているのが良いです。
それと人は誰かと場所を問わずに繋がっているんだなと思いました。
夏海が大きな試練を乗り越えるクライマックスには胸が熱くなりました。
この作品は生きていて、迷っている人の背中をさすってくれるような優しさが詰まっていました。
多くの人に読んでほしいです。
(あらすじ)
とある事情から地下アイドルを辞め、マスクを手放せなくなっていた奈々子は、ある日ラジオ局のディレクター黒木から、番組アシスタントにスカウトされる。初日の生放送は後に「伝説の十秒回」と呼ばれる神回となるが―。絶望を抱える中学生、子どものいない夫婦、切実な日々を生きるリスナーに、奈々子の声は響くだろうか。