様々な恋愛のままならない感情について書いてきた筏田先生だからこそ、恋の良いとこ悪いところを隔てなく表現出来る。
そんな筏田先生の新作は、恋にまつわる短編集で一つ一つの話の完成度が高いです。
各話登場人物の魅せ方が上手くて迷っている登場人物の背中を押してあげたくなるくらい感情移入してしまい、読んでいて恋を応援したくなりました。
そして、全ての話がどこか繋がっていて収束する最後は素敵でした。
短編で各話1話ずつ単体でも面白いですが登場人物の繋がりを1話ずつ過ぎていくごとに判明していくのは、上手い構成でした。特に4.5話の繋がりは良い意味でうわってなりました。4話だけ毛色が違いすぎる笑
作品全体で登場人物に寄り添った描写と恋に揺れる心情が巧みで非常に素晴らしい恋愛作品でした。読み応えのある1冊です。
読み終えたら、人と出会って分かれてを繰り返しつつ、いつか知らないところで繋がっている暖かさがありました。
青春、恋愛ものが好きな人に是非読んでもらいたいです。
人の数だけ恋がある。恋の数だけ涙がある。共感必至の切なさをあなたに……
高校2年生の中川は、友人にすすめられ久しぶりに書店に立ち寄った。POPにひかれ手に取った本を持って行ったレジで、対応してくれた店員に一目ぼれしてしまう。彼女には「あつみ」とあった。それ以降、1冊読み終わるたびに、本を買う日々が続いていたが……ほかラジオ番組の投稿者が気になる秀才、高校時代の同級生に翻弄される女子大生、同性を崇める女子中学生など全5編を収録した、究極の切なさを描く短編集。
イラスト/山中ヒコ