暗い雰囲気の世界の片隅を照らすような作品でした。
主人公のデッドは死者。ヒロインのファイはヒト。これは確かな壁となっていて2人の関係の試練になっていた。
天獄ではデッドは生きられないし、地国ではファイが生きられない。
2人は離れないといけないのか。
2人は納得して別れられるのか。
デッドとファイの関係の築き方が丁寧、というか関係こそ大事な作品ですが、2人のままならない感情の揺れ動きが描かれていて、最後の互いの決断には胸が熱くなりました。
逃避行物語として最高でした。
幸せになってほしいです。
中盤から重たくなりますが、前半のコミカルなやりとりも癖になるものがありましたので良かったです。
デッドとファイの出会いの頃のジタバタした感じはにやけてしまいます。
独自な世界観で織りなしているので、他では味わえない読後感になっているので是非多くの人に読んでほしいです。
(あらすじ)
交わることのない、君と出会った。
天空に浮かぶ「世界時計」を境に分かたれた「天獄」と「地国」。地国で暮らす死者の僕はある日、常夜の空から降ってくる彼女を見つけた。
一目見た瞬間から僕はもう、恋に落ちていた。
彼女の名前はファイ。僕の名前はデッド。
彼女はヒトで、僕は死者。だからこの恋は、きっと実らない。
それでも夜空は今日も明るい。
二つの世界の引力バランスがひっくり返る「天地返り」の日まで、僕は地国のゾンビから彼女を守り、そしてきちんと「さよなら」を告げる。
これはやがて世界を揺るがすことになる、相容れない僕たちの物語だ。
第14回小学館ライトノベル大賞・ガガガ賞受賞作!!