やがて君になるの仲谷さんがイラストというだけであらすじを読まずに反射的に買いました。
勝手な思い込みですが、学園で暖かい作品かと思ってたので、無機質な世界観に驚きました。
そんな味気ない世界でみんなは違和感を感じることなく暮らしていて、その中で主人公のレニーは異物感を拭えずにいる。
周囲の当たり前にげんなりしているときにレニーは周りに受け入れられなくても自らの芯を持っているトーカと出会って、彼女から目を離せなくなる。
レニーとトーカの各視点で見えるからこそ、徐々にすれ違っていき、迷路に迷い込んでいく2人がもどかしく感じます。だが、その上手くいかない感情の揺れを、醜いものも晒していくことで最後に繋がっていくのが良いですね。
隣の芝生は青いというが、互いに相手に理想を感じていて、そのバイアスから抜け出すのは大変だ。
虚しい現実と戦ったレニーとトーカがぶつかり合っていくことで開けた道は応援したくなりました。
(あらすじ)
繋いだ手のぬくもり。これはきっとリアルだ
「この雨も、風も、空も全部。もうずっと昔に地上にあったものを再現してるだけ。ただのフェイクじゃん」
有機ディスプレイは偽物の空を映し、人工太陽の光が白々しく降り注ぐ地下都市『Polis-UK8』。この全てが人の手によって作られたフェイクタウンで生きる十六歳の少女・レニーは、周りに溢れるフェイクを嫌い、リアルな『何か』を探している。
そんなレニーが出会ったのは一人の少女・トーカ。サボリ魔で不良少女たるトーカに、レニーは特別な『何か』を感じ、一緒の時間を過ごすようになる。
ある日、レニーの前に空から謎の球体が降ってくる。まるで太陽のように真っ赤に燃えていた小さなそれを、レニーは『太陽の欠片』と名付け正体を探ろうとする。
一方その頃、トーカの方でも何やら変化が起こっていて、二人の日常は音を立てて崩れ始めていく―― 。
「きっと隣にレニーがいるから――こんな毎日なら、あたしは悪くないと思えるんだ」
いつかトーカが言った言葉。あれはフェイクだったの? それとも――。
第14回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作!
地下都市に生きる二人の少女のリアルとは――ガールミーツガールから動き出す、青春SFストーリー!