今作は家族の不滅な絆を描いた長編小説です。
複雑な事情を持った家族が家族として当たり前の幸せを手に入れるための物語だと僕は感じました。
なぜ、人間はレイプを犯すのか。その問いについて掘り下げて説明されていて確かに犯罪の中で嫌な印象を受けるが、生きていれば良いじゃんと答える人がいる。軽く見られガチだが犯人を決して擁護してはいけない。未成年だろうが許さないというスタンスは嫌いじゃないです。
生きるうえで何を大事にするかは人それぞれですが、この作品に出てくる家族の暖かさは特別だと思いました。有り様が綺麗でした。
作品全体的な流れは掴みやすいですが、細かなところで紡がれる父、母の大きさや兄弟の信頼は心に響きました。
素晴らしい余韻でした。
黒澤さんの言葉も印象深かったです。
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは―。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。