羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

逆ソクラテス

逆ソクラテス (集英社文芸単行本)

 

ずっと読みたいと気になっていましたが、文庫されるまで待とうかと思ってましたが読まずにはいられなかったです。

小学生、子供達が主役で、担任、いじめっ子、意地悪なクラスメイト、知らない大人、など周りに敵がいっぱいいて、その時にどうすれば良いのか考えさせられる内容になっていました。

表題作は大人でも迷うのに、先入観と戦おうとする子供達の作戦は惹きつけられました。周りに負けずに、自分はそうは思わないと言える逞しさは大切なんだなと。

スロウではないは子供の小さな社会で元いじめっ子と現いじめっ子の対比が眩しかったです。いじめていた過去は消えないけど、未来は変えられるのが救いでした。

他の話もかなり面白いです。

個人的に1番のお気に入りは非オプティマスでした。頼りないとされていた担任が親や子供達に説いた、怒る、注意するということ、そして周りに迷惑をかける人に対してどう接すれば良いのかに対する提示は心に響きました。

 

全体的に完成度の高い短編が集まっていて、小学生や中学生の時に読みたかった内容で幼かったゆえに苦しんだり悩んだりするツボを的確に突き刺さる内容でした。現実をひっくり返していく話が堪りませんでした。

 

短編集で子供達が主役ということでいつもの無茶苦茶(褒め)な展開はないだろと思っていたが、軽く挟まっているのは驚き。だがそれもスパイスに変わっているのが上手い。

 

自分の意見、意思を示す方法は色々ありますね。

 

敵は、先入観。
世界をひっくり返せ!

伊坂幸太郎史上、最高の読後感。
デビュー20年目の真っ向勝負!

逆転劇なるか!? カンニングから始まったその作戦は、クラスメイトを巻き込み、思いもよらぬ結末を迎える――「逆ソクラテス
足の速さだけが正義……ではない? 運動音痴の少年は、運動会のリレー選手にくじ引きで選ばれてしまうが――「スロウではない」
最後のミニバス大会。五人は、あと一歩のところで、“敵”に負けてしまった。アンハッピー。でも、戦いはまだ続いているかも――「アンスポーツマンライク」
ほか、「非オプティマス」「逆ワシントン」――書き下ろしを含む、無上の短編全5編を収録。