晴れ、時々くらげを呼ぶでデビューした作家の新作ということで楽しみにしてました。
ふらふら生きてきた主人公がある日、突然過去に別人となってタイムスリップする。
不思議な現象のおかげで、自分の小さな頃の無邪気さと向き合うことに。
大学生まで生きていれば自分の事に見切りをつけたくなる弱さが生まれるのは仕方ないことかもしれないが、そんな自分の過去はどうだったというのを突きつけられるのは辛い。
なまじ、大人に近づいている頃に直視するのは嫌だろう。
だが、今の自分を救うのは昔の自分でも良いし、未来の自分を救うのは今の自分かもしれない。
タイムスリップの原因に迫っていくことで、訪れる改心のタイミングは見事なもので、勇気を貰える良い展開でした。
大人に近づいていくうちに子供の頃から遠ざかっていくが、繋がっている。
子供の頃に夢見ていた自分になれなかったのかもしれないが、自分を救うのが自分だっていい。
ヒーローに憧れていた自分を恥じなくていい。
しっかり前に歩きだすことが出来るようになるから。
読み終えて、じんわりと心が暖かくなるし勇気が出ました。
誰だって様々な可能性を秘めていて、若いうちから諦めるのはもったいないなと考えるきっかけにもなる作品でした。
なにより、皆に愛される犬の活躍は愛おしかったです。
今までの自分をきれいさっぱり捨て去って生まれ変わることができたら、どんなに幸せだろうか――。
誰もが一度は思うこと、その願いへのひとつの答えがここにある。自分に何の期待もできず、自堕落な生活を送る大学生の敷石和也(たかなり)。
ある日突然、全く知らない子どもの姿となって目覚める。目の前には、小学生時代の自分が。
なんと「赤の他人」として10年前にタイムスリップしてしまった……!
大人びた優等生のクラスメイト・渡来凛、いつも一緒だった友達の飯塚正人と田島拓郎。
その中にあって小学生時代の自分を客観的に見つめる和也。
果たして和也は自分の身に起こった、この奇妙な奇跡とどう向き合っていくのか?デビュー作『晴れ、時々くらげを呼ぶ』が4刷の大反響、鯨井あめが紡ぐ最新作!