良い青春。
学校で優秀であることを求められ続けて、特別でいることに疲れてしまった少女・三峰が飛び降りようとしたところに居合わせた少年・Aくんが自殺を止めるためにあの手この手で日々を繋いでいく。
最初はAくんが必死になっていたが、徐々に三峰の方が気持ちが膨らんでいく。
2人の現実逃避の日常は楽しくて救いになる。
最初は警戒心がありましたが、Aくんの人となりを知っていくうちに彼を意識してしまうのは仕方ない。2人が出会うことで、互いに大切にしたいと思える人と巡り会えたのだから。
Aくんだけでなく三峰の視点が挟まれていることで、シーソーのように2人の間を行ったり来たり感情移入出来ました。
自分の生き方に悩む三峰がAくんとの日々を経て、自らの意思で特別という殻を破る姿は爽快でした。
ずっと曇っていた彼女がスッキリしていくのは読んでいるこちらも良かったと安心しました。
日々に行き詰まった時は自分とは違う視点を持つ人と話すと、思いがけない閃きが起こる。
人生を諦めるのはなしにしよう。
2人のこれからが幸せでありますようにと祈りたくなる作品でした。
飛び降りそうだった美少女を、幸せな日常へと導く青春譚。
陰キャでも陽キャでもない、カーストもそこそこの俺。
けれどある日、屋上でばったりと「神に愛された完璧な美少女」と
名高い三峰彩葉が飛び降りようとしているところに遭遇する。「放っておいて。私、もう死ぬんだから」
そんな彼女を止めて以来、二人で過ごす日々が始まった。空
き教室でピザを食べたり、夜のプールで花火をしたり。「私、
君といるのが楽しいのかも」「君のせいで死ねないじゃん」他
人の視線に怯えつつも、そっと心を開いてくれた三峰。“完璧
な自分”の仮面を取った彼女は、子どもっぽくも可愛くて――。これは悩める美少女を、平凡で幸せな青春へと導く物語。