まさにペッパーズ・ゴースト!意味は是非最後まで読んで確かめて欲しい。
伊坂幸太郎先生の集大成ということですが、そういうことは気にせず読んでほしい力作でした。
主人公・檀先生は他人の飛沫を摂取すると、相手の翌日の未来が見えるという不思議な能力を持っている。
そんな檀先生が女子生徒から渡される不思議な小説や、生徒の少しの違和感から大きな事件に巻き込まれていく。
普通の日常から徐々に逸脱していき、とんでもないことにまで発展していく展開に釘付けになりました。
女子生徒の不思議な小説や檀先生の不思議な能力、一体どうなっていくのかさっぱりでしたが、見事に結びついた時は興奮しました。思い返してみたら、確かに種は撒かれていたなと唸りました。
そこからの展開は怒涛の勢いで物語が進んていき、最後まで突っ走っていきました。
あらゆる人物達が交差していく終盤は気持ちいいくらいに痛快でした。
犯人、サークルメンバーの考えには当事者にしか分からない痛みが含んでいて、必ずしも肯定出来ないが、世の中に訴えたいという気持ちは否定出来ないと思う。
そこのあたりの倫理や考えはまさに現代に必要なものだと思いました。
檀先生の身に起きた事件の行方はまさかのもので、落ちるところに落とし込んだという感じかな。
最後に檀先生が語った考えが本当だったらと思うばかりでした。
そして、檀先生が見た未来予知に希望があって素敵な余韻でした。
少しだけ不思議な力を持つ、中学校の国語教師・檀(だん)と、女子生徒の書いている風変わりな小説原稿。
生徒の些細な校則違反をきっかけに、檀先生は思わぬ出来事に巻き込まれていく。
伊坂作品の魅力が惜しげもなくすべて詰めこまれた、作家生活20年超の集大成!