羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

動物園の鳥

動物園の鳥 (創元推理文庫)

 

素晴らしい最終巻。

坂木と鳥井の関係の不安定さ、危うさについて考える。

読み終えて、タイトルと表紙を見ると、繋がっているんだなと感じました。

人間だって、動物。動物だって、自然に生きている。悩み、苦しみながらも生き方を見つけていく。

坂木と鳥井がそれぞれ、檻から出ないといけなかった。それは難しいけど、やってみせた。最後の2人の光景は尊いです。

 

今回は長編で、じっくりと腰を据えて読める。鳥井のイジメられていた中学時代の過去と坂木の今。籠に囚われていた人が羽ばたいていくような物語でした。

加害者、被害者、共に掘り下げていくので痛みが伴いますが、しっかり希望を残しているので、読んでいて救われます。

自分を持って、周りに優しくあれたら、幸せだと思います。

 

春の近づくある日、僕・坂木司と鳥井真一のもとを二人の老人が訪ねてきた。僕らの年上の友人でもある木村栄三郎さんと、その幼馴染みの高田安次朗さんだ。高田さんがボランティアとして働く動物園で、野良猫の虐待事件が頻発しているという。動物園で鳥井が掴んだ真実は、自身がひきこもりとなった出来事とどうつながるのか――。はたして鳥井は外の世界に飛び立てるのか、感動のシリーズ完結編。鳥井家を彩る数々の家庭料理をご自宅で作れる、簡単レシピ集「鳥井家の食卓」など、文庫版おまけ付き。著者あとがき=坂木司 解説=畠中恵