羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

青空の卵

青空の卵 (創元推理文庫)

 

坂木司先生のデビュー作。

自分は今作を読んで、坂木司先生の作品の虜となりました。

改めて読み返しても、人の負の感情と向き合っていく強さを与えられる作品ですね。坂木と鳥井の2人が一緒にいることもそうだし、登場する人達にも抱えているものがある。

それぞれの悩みに寄り添った、物語運びと言葉のチョイスに胸が締め付けられます。

 

ミステリとしても上手いなと思うし、人の内面を掘り下げていく面も長けているなと。文章が胸に沁みます。

 

登場人物が話が変わっても、再び出てきて、坂木と鳥井と友人になっていく、人の輪は暖かくて心地よい。

今作が持つ、人への優しさと配慮はとても大切なもので、何度でも読み返したくなります。

 

外資系の保険会社に勤める僕・坂木司には、一風変わった親友がいる。自称ひきこもりの鳥井真一だ。複雑な生い立ちの鳥井は外部との接触を極力避け、僕を通じて世界を見ている。そんな鳥井の関心を外の世界に向けるため、彼との食卓に僕が出会った身近な謎を披露していく。大人の視点で推理し、子供の純粋さで真実を語る鳥井は、果たして外の世界へとはばたくことができるのか。著者デビュー作にして人気の〈ひきこもり探偵〉シリーズ、待望の文庫化。文庫版著者あとがき=坂木司/解説=北上次郎