羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

鬼人幻燈抄 (五)-明治編 徒花

鬼人幻燈抄 (五)-明治編 徒花 (双葉文庫 な 50-05)

 

落ち着いた雰囲気になっていて、それだけ甚夜が年を重ねたということか。復讐の気持ちだけではなく、人としての営みを大切にしているのが分かる。娘との距離感には頬が緩みます。

 

激しい戦いは少なく、移ろう時代と取り残される武士の心情が切ない。今までは斬った、斬られたの世界で道を拓いてきた武士達からすると、廃刀令は重たくのしかかるだろう。

甚夜が過去の友人と向き合わないといけないのは悲しいなぁ。

 

今と未来が交差するエピソードにはほっこりしました。甚夜の長生きを生かした話で良かったです。

 

明治五年(1872年)。
近代化が進む明治の世は、武士という存在を置き去りにして進みつつあった。
娘の野茉莉とともに京都に移り住んだ甚夜は、昼は蕎麦屋を営みながらも、夜は相も変わらず鬼退治を生業にしていた。
新時代になったものの、鬼の討伐依頼は増え続けるばかり。その陰には、どうやら「マガツメ」なる存在がかかわっているようだが……。
大人気和風ファンタジーシリーズの第五巻が文庫化!