羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

横浜ネイバーズ

横浜ネイバーズ (ハルキ文庫 い 27-1)

岩井圭也先生の最新作。

横浜中華街を舞台にした地域に根ざした物語になっていました。だからこそ、横浜中華街で起こるそれぞれの問題に首を突っ込んでいく主人公・ロンが魅力的でした。

ふらふら生きているようで、他者の悩みに寄り添って、事件解決のために身体を張る、人の良さが人を救っていくのが地に足着いた作品だと伝わってきました。

 

問題が東横キッズ、推し、外国人、欠落した加害者意識など、現実にあるものを取り上げていていました。地味に映るかもしれないが、人が描けているからこそ、胸に沁みる物語になっていました。

 

次巻も楽しみです。

 

横浜・中華街、四川料理の名店「翠玉楼」は来月で閉店を迎える。
いずれはオーナーの座を継ぐつもりでいたロンこと小柳龍一は当てが外れ、毎日することもなく、ぶらぶらと暇を持て余していた。
二十歳を超えたからって、まだ将来なんて決められない。そんな働く気も夢も、何もない彼の元に次々と厄介事が持ち込まれる。
それはロンが〈山下町の名探偵〉と呼ばれていたからだ。
「何も手にはもっていないけれど、それでも」──大きな共感を集める等身大のヒーローが誕生!