羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

不実在探偵の推理

不実在探偵の推理

大好きな井上悠宇先生が遂に単行本作品を出すとは。

買うしかない。

1話目は以前小説現代で読んでいましたが、掴みに持ってくる話としてはこれ以上ない。

特殊な探偵の在り方をしていると十分に伝わってくる出だしだと思う。

その探偵、不実在なだけに結論は言えない。ある意味無敵なんだけど、万能ではない。

面白い設定で正解に辿り着くまでに、アレはコレはと事件の要点を絞って、様々な可能性を検討していくのが良い。

探偵はハイかイイエ、分からない、関係ない、など短めな情報をくれるから、そこから真相に向かう流れは美味いなぁ。

 

キャラ達も物語運びも抜群に良い。是非シリーズ化をお願いしたい。ミステリ好きの刑事は危うさを感じるが笑

 

現とアリスの関係大好き。

実在、不実在、関係なく推したい関係性でした。

 

「彼女は実在してる。存在が不確かなだけで、ずっと僕の傍にいるんだ」
大学生の菊理現(くくり・うつつ)が思い出のダイスに触れた途端、長い黒髪に白いワンピースの美しい女性が見えるようになった。
現にしか見えない彼女はしかし、ずば抜けた推理力を持つ名探偵。
藍の花を握りしめて死んだ女性、宗教施設で血を流す大きな眼球のオブジェ。
二人に降りかかるすべての謎は解けている。
あとは、言葉を持たない「不実在探偵の推理」を推理するだけ。
水平思考を巡らせて、「はい」か「いいえ」の答えで真実にたどり着け。