序盤は夢や希望が感じられず、まさにAIに創造を奪われているのが伝わってきて暗い気持ちに。
ただ、AIが発展していくと人に出来ることは限られてしまう。いや、そうじゃないだろと訴えかけてくる。厳しい現実を見せつつ、人が創造する喜び、目的、価値の大事さが伝わってきました。
確かに人より優れていて、便利で目的を間違えなければ優秀だ。
それでも人の作った、血や涙を流した結晶であって欲しいと思う人のはエゴなのか。
最後に見えた景色は幻想か現実か。
天才・名塚が死んだ理由や主人公や旧友に託した想いは切実に、響いてくるものがありました。
人工知能の作曲アプリ「Jing」により作曲家が絶滅した近未来。
元作曲家の岡部の元に、自殺した天才・名塚から
指をかたどったオブジェと未完の傑作曲が送られてくる。彼の残したメッセージの意図とは――。
名塚を慕うピアニスト・梨紗とともにその謎を追ううち、
岡部はAI社会の巨大な謎に肉薄していく。