羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

電気じかけのクジラは歌う

電気じかけのクジラは歌う (講談社文庫)

序盤は夢や希望が感じられず、まさにAIに創造を奪われているのが伝わってきて暗い気持ちに。

ただ、AIが発展していくと人に出来ることは限られてしまう。いや、そうじゃないだろと訴えかけてくる。厳しい現実を見せつつ、人が創造する喜び、目的、価値の大事さが伝わってきました。

確かに人より優れていて、便利で目的を間違えなければ優秀だ。

それでも人の作った、血や涙を流した結晶であって欲しいと思う人のはエゴなのか。

 

最後に見えた景色は幻想か現実か。

天才・名塚が死んだ理由や主人公や旧友に託した想いは切実に、響いてくるものがありました。

 

 

人工知能の作曲アプリ「Jing」により作曲家が絶滅した近未来。

元作曲家の岡部の元に、自殺した天才・名塚から
指をかたどったオブジェと未完の傑作曲が送られてくる。

彼の残したメッセージの意図とは――。
名塚を慕うピアニスト・梨紗とともにその謎を追ううち、
岡部はAI社会の巨大な謎に肉薄していく。