羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

ミステリ作家 拝島礼一に捧げる模倣殺人

ミステリ作家 拝島礼一に捧げる模倣殺人 (メディアワークス文庫)

題材、テーマが興味深くて、物語にうまく溶け込んでいたので説教臭くなっていないのが素晴らしい。

人を傷つけない表現はない。それが現実。それでも創作者として矜持を持って、表現をしていく拝島先生の決意は希望があって良かったです。

現実でも起こり得るラインを攻めていて、小説から受ける影響、SNSで吐き出す人を傷つける言葉、全て自覚しなければならないなと思います。作家だけでなく、誹謗中傷を行う人への戒めとしても良いかな。読者も想像力や物語の捉え方を養わないといけない。

何かを発信する側、受け取る側、双方が意識していかないといけないですね。

 

また、犯人との探り合いはスリルがあり、良かったです。出し抜きあいの緊迫感がありました。

 

天才ミステリ作家と週刊誌記者が立ち向かう、おぞましき猟奇事件。

謎に包まれた天才ミステリ作家・拝島礼一の代表作「絵札の騎士」を模倣した連続猟奇殺人事件が発生。
新米週刊誌記者の織乃未希は、唯我独尊な拝島に半ば強引に協力を求められ、秘密裏に事件を調査することになる。
"原作者"としての強みと推理力で事件を紐解いていく二人だったが、模倣犯が仕掛けた狡猾な罠や、世間に渦巻く"正義"という呪いが容赦なく襲い掛かってくる――。
壮絶な頭脳戦の果てに、二人が辿り着く驚愕の真相とは?