メディアワークス
久しぶりに物語に入り過ぎて、気持ちや感情が乱れてしまいました。 人の死については避けられないけど、出来るだけ目を逸らしていたくなる。しかし、今作はしっかり死に近づいている人の気持ち、関係者の関わり方などを描いているので、向き合わなければとい…
題材、テーマが興味深くて、物語にうまく溶け込んでいたので説教臭くなっていないのが素晴らしい。 人を傷つけない表現はない。それが現実。それでも創作者として矜持を持って、表現をしていく拝島先生の決意は希望があって良かったです。 現実でも起こり得…
あらすじ、表紙から捻れた小説かなと予想してましたが、想像以上に闇を持つ小説でした。 なぜ、監禁が起きたのか。 なぜ、ぜんぶ小説のせいだと訴えるのか。 タイトルの完璧な小説とは何か。 事件に至るまでの経緯が明かされていく形で進行していく。 最後ま…
人生に希望を見いだせずにいる人に届いて欲しい作品でした。 iというのは虚数で、愛でもあって、小説でもある。現実に生きられない少年、少女の虚無感加減が絶妙でした。人間生きていたら、たまに考えてしまう生きる意味というのは人によって違うから、生き…
タイトルから気になって読みました。 血が苦手だが医師になりたい主人公・戸島。設定からして困難が予想されているが、やはり壁にぶつかる。進級が危うくなったり、死に際の患者に寄り添ったり、友人の病気、様々な悩みが尽きない。 それでもしっかり患者と…
青春作品は数多く出版されているが、一条先生の作品は設定の活かし方が巧みで最後の最後まで惹きつけられる。 難病設定を上手く扱っていて、非常に心に来ました。作者のスタンスなんですが、作品の味付けが上手い。バランス感覚が良くないと陳腐になりそうな…
胸に突き刺さる物語。 少年犯罪を取り上げた名作。なぜ15歳の少年・篤人がテロリストになったのか。そこに至るまでのプロセスが切なくて辛い。 未成年が加害者なら罪を犯しても守られる。 では、被害者の気持ちは誰が守るのか。 心揺さぶられる題材を上手く…
松村涼哉先生は社会から溢れてしまって行き場のない子供達に寄り添う作風で、今作もそうでした。 罪を犯して、更生するのは並大抵のことではなく。周囲からの目、自分で自分を許せなかったり、上手くいかない。 少年院に入った事実から目を背けたくなるが、…
素晴らしい青春再生物語でした! 青春と後悔、少し不思議な現象を上手く料理している作品だなと思いました。主人公、湊はサーファーとして生きていたが、怪我によって消化不良を起こしていた。 そんな湊の携帯に彼を好きだという少女、すずの魂が宿ることで…
また、松村涼哉先生が名作を出してきたか。 毎回、テーマを決めて書いている作家さんだが、今回は様々な社会問題を取り入れてミステリーも入り組んでいたので、読み応えが抜群でした。 田舎が舞台に起きる失踪事件。その背景には家庭、部活、仕事があり、救…
映画観たら、原作に戻りたいと思い再々読しました。 もう3度目になると驚きとかはないですが、高坂と佐薙が虫の存在が間に挟まっているとはいえ、世間に馴染めないという共通点や気が合うという相性の良さから仲を深めて、落ちていくのは美しいとすら思いま…
現代の世界観で魔法使いが存在するという舞台設定に惹かれて読みましたが、面白かったです。 現実の生活がある世界の裏で魔法という非現実的な世界もあるのだと思うとワクワクします。 ただ、その反面。 魔法使い、魔女になりたくても魔力を持たずに断念し…
綺麗に完結。嗄井戸の姉を殺した犯人ときっちり決着がついたのは良いですが、犯人が安っぽくて唐突に感じたのは残念でした。1巻から明かされていた嗄井戸の姉の惨殺事件の背景から一筋縄にはいかないと思っていたので期待が膨らんでいたので、よりそう思い…
1巻に比べて刺激が少なくほのぼのとした短編でしたが、各話の謎は真相が気になるものですらすら読めました。 どの話も登場人物の心情がよく描けているのでいったいどんな事情が抱えているのかが気になって仕方がないです。 追っていく推理パートと解決パー…
作品をハイペースに生み出していく斜線堂先生のデビュー作ということで読むべきかなという気持ちで読みましたが強烈にビンタを食らったようなパンチの効いたミステリーでした。 映画が題材なのは知っていて、映画詳しくない自分でも話についていけるのかな…
タイトルの意味に気づく最後が最高に良かったです。 良い意味で裏切られた。 序盤から中盤まではよくある日常でどう物語を動かすのか気になっていましたが伏線はありつつもそこに行き着くのかと。 笑ったら死んでしまう少女と誰かを笑わせたい少年が出会い…
デビュー作の今夜、世界からこの恋が消えてもに感動しましたが、今作も心が震える純愛物語で目が潤みました。 設定の味付けが非常に上手い作家さんで、読み進める手が止まらないように仕向けられてます。勘違いするようなミスリードも含んでいてそれも展開の…
ミステリーとして素晴らしいのはもちろん、登場人物の動かし方が良く、題材にしている社会問題を組み合わせるのがとても上手いのでメッセージ性が強いのが魅力でした。 いきなり閉じ込められた少年少女が過去に起きた事件について改めて見つめ返していくこ…
ハロウィンの時期が過ぎたので今作を読みました。 仮装行列の中に本物の血を流して傷がある人が紛れられるのだろうか。 相変わらず三秋先生の発想が独特で、良い感じに人生の危ない道を渡り歩いていく設定でスリルと背徳感に包まれていました。 主人公・瑞…
家庭環境によって人生は左右されるのは辛い。 しかも子供は親を選べないし、親も子を選べない。無常だ。 運が悪く、毒親を引いてしまった主人公灰村のもとにまた毒親を引いてしまった逢崎が現れる。 親の歪んだ愛に殺されそうになっている2人が出会い、大き…
父が有名な小説家だったが、家庭を顧みない生活を送っていて、そんな父が嫌いになり、小説そのものまで嫌いになってしまった主人公の春原が、父の死の後に文芸部に所属することになり、嫌でも小説と向き合わなければならなくなる。 最初は嫌な気持ちを持っ…
君が電話をかけていた場所で撒かれていた伏線を回収して、終わりに向かっていくので身体に重たくのしかかってくるような重厚感がありました。その分、読み応えはバッチリ。 奇妙な四角関係になり、陽介が揺れるのは分かる。自分の大切な人が別の方向を向い…
夏の時期にぴったりの作品なので久しぶりに読み返しました。やはり夏に読むと浸れる作品でした。顔に痣があり、後ろ向きで自暴自棄的な生き方をしていた深町陽介だが、ある時謎の少女から電話がかかってきて、ある賭けに乗ることになる。陽介の痣があって、…
久しぶりの続巻でしたが、するりと内容に入っていけました。横溝正史先生の作品がテーマでしたが、自分は1冊も読んだことがないので心配してましたが杞憂に終わりました。知らない自分でも楽しめるので親切な内容です。ストーリー中に横溝先生の作品の良さが…
表紙や推薦文に惹かれて読みました。佐野先生、松村先生が推すなら合うんだろうと思いましたが、見事にページをめくる手が止まらなかったし、スリリングなようで優しさの積み重ねの展開は見事でした。大人が決めたルールに従わなければならない子供達の行き…
斜線堂先生がまた爆弾を投げつけてきた。そして惑わされる。(あらすじ)やがて150人以上の被害者を出し、日本中を震撼させる自殺教唆ゲーム『青い蝶』。その主催者は誰からも好かれる女子高生・寄河景だった。善良だったはずの彼女がいかにして化物へと姿を変…
記憶が残らない少女との恋愛ものって、量産され過ぎていて警戒するジャンルだと思うが、表紙や嘘の関係から始まるということに興味が煽られました。良い意味で裏切ってくれて、今作ならではの良さが詰まってました。(あらすじ)一日ごとに記憶を失う君と、二…
冬にぴったりな内容。人生に上手くいっていた主人公が10歳から2周目の人生に歩き出すところから始まる。唐突な物語の始まりでしたが、徐々に主人公が1周目と同じ道を歩き始めてるのに、不幸に落ちていくあたりから不思議と物語に入れるような気になりました…
電撃文庫からメディアワークス文庫へ。15才のテロリストで衝撃的なインパクトを残した松村先生の新作。前作に続き、読むと衝撃を受ける作品になっています。人生に絶望して自殺しようとする主人公・立井は死ぬ寸前に高木という男に救われ、2人は秘密を共有し…
タイトルと表紙だけで面白そうだと思ったら、その通りだった。劣悪な家庭環境で育った少年,江都は身体が金塊に変わる女性・弥子と出会う。この物語は始めから決まっていたのかなと読み終えたら思いました。どんどん、身体の一部が無くなっていく弥子に凹み…