羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~

キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~ (メディアワークス文庫)

 

1巻に比べて刺激が少なくほのぼのとした短編でしたが、各話の謎は真相が気になるものですらすら読めました。

どの話も登場人物の心情がよく描けているのでいったいどんな事情が抱えているのかが気になって仕方がないです。

追っていく推理パートと解決パートで見える現実が違っていて、その差異を生み出すのが非常に上手いので始めと終わりで生まれる感情が違うようになっています。

 

キャラクターとしても奈緒崎と嗄井戸の関係の修復や会話に微笑ましい気持ちになり、平和な空気でした。

喧嘩しながらもなんだかんだ側に落ち着くんだから良い関係だよなと。

奈緒崎は良くも悪くも正直だからひねくれ屋な嗄井戸が側にいたほうがバランスが取れるのか。嗄井戸にとっても奈緒崎が良い相手なんだなと。

 

穏便に終わるかと思いきや終わりの数ページで一転しました。これはかなり不穏な空気が出てきました。

いったい奈緒崎は何を知ってしまったのか。

最終巻である次巻が気になります。

 

火事で家が燃え、嗄井戸が住む銀塩荘の一階に引っ越した奈緒崎は、嗄井戸の部屋に入り浸る日々を過ごしていた。
夏休みが終わり、大学に赴いた奈緒崎は同級生にかけられた『スタンド・バイ・ミー』窃盗容疑を晴らすため、嗄井戸のもとへ向かうが――。
実力派女優の家に残されたピンク色の足跡、中古ビデオ屋の査定リストに潜む謎……圧倒的な映画知識で不可解な事件を解決してみせる引きこもりの秀才・嗄井戸。その謎解きの中には彼自身の過去が隠されていて――?!