羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

第八の探偵

第八の探偵 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

発売前からミステリー作家達がTwitterで呟いていて、登場人物が作家と編集者ということで気にならざるを得ない。

数学の理論を用いる作家と編集者が1冊の本に収録されている短編を1話ずつ読み上げて解説していく形式で進む。だから登場人物が作家と編集者だったのかと納得。

それぞれの話が惹かれるのはもちろんのことだが、ミステリーについて2人が言及していく会話が抜群に良いです。

七つの短編、一話一話の質はもちろん、些細な違和感やトリックや話作りのことを言及していく会話はミステリー好きならば食いつくこと間違いなし。

 

そして、七つの短編を読み終えた後に現れる第八の謎は衝撃でした。第八の探偵はお見事でした。素晴らしい構成でした。

見ていたものがひっくり返るというのはミステリーの醍醐味ですね。

 

作家と編集者の掘り下げもしっかりなされていて、魅力的でした。

 

次回作も楽しみな作家ですね。

 

独自の理論に基づいて、探偵小説黄金時代に一冊の短篇集『ホワイトの殺人事件集』を刊行し、その後、故郷から離れて小島に隠棲する作家グラント・マカリスター。彼のもとを訪れた編集者ジュリアは短篇集の復刊を持ちかける。ふたりは収録作をひとつひとつ読み返し、議論を交わしていくのだが……
フーダニット、不可能犯罪、孤島で発見された十人の死体──七つの短篇推理小説が作中作として織り込まれた、破格のミステリ