羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

非日常の謎 ミステリアンソロジー

非日常の謎 ミステリアンソロジー (講談社タイガ)

 

今勢いのある阿津川先生、木元先生、辻堂先生や実績のある芦沢先生、城平先生、凪良先生とバランスの良いミステリー作家陣が集うアンソロジー

非日常かどうかは読み手次第だが読ませる短編集でした。

先頭打者の辻堂先生の「十四時間の空の旅」はオードソックスな展開でお手本のような短編でした。じんわりときて、話の行く末が幸せでありますようにと願いたくなります。

虚構推理の城平先生の「これは運命ではない」は運命ではないと証明しようとする九郎の理論が読み応えがありました。

受賞が続く阿津川先生の「成人式とタイムカプセル」は真相が明かされてからの感傷やタイムカプセルという時間が経ってからの出来事ということでより良く締まっていました。

閻魔堂沙羅の木元先生の「どっち?」はひたすらゾッとする思考が頭によぎる終わりで非常に良いイヤミスでした。短編で短いのに伏線回収が巧みで流石でした。

芦沢先生、凪良先生の作品はあまり乗り切れなかったです。良いは良いのですが言葉に出来ない。

ただ、各話に安心感がありました。話の雰囲気が作家によって異なるので気になる人は是非読んで確かめてほしいです。

 

 

 

今、猛威を振るうコロナウィルスにより、私たちの「日常」が脅かされています。
ですが、そんな「非日常」の中でも、大切な「日常」は続いていきます。
いえ、「日常」を続けていくことこそが、私たちの戦いです。

そこで、ミステリにおける「日常の謎」というジャンルを今回は「非日常の謎」と置き換え、
日々の生活の狭間に突如訪れる、刹那の非日常で生まれる「謎」をテーマとして、
創刊5周年を迎えた講談社タイガが期待する、六人の著者に短編を寄稿いただきました。

物語が、「非日常」を乗り越える力となることを信じて。
創刊6年目となる講談社タイガは、小説を楽しめる「日常」を守り続けます。

「この世界には間違いが七つある」芦沢 央(あしざわ・よう)
「成人式とタイムカプセル」阿津川辰海(あつかわ・たつみ)
「どっち?」木元哉多(きもと・かなた)
「これは運命ではない」城平 京(しろだいら・きょう)
「十四時間の空の旅」辻堂ゆめ(つじどう・ゆめ)
「表面張力」凪良ゆう(なぎら・ゆう)