羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

神様の罠

神様の罠 (文春文庫)

 

粒揃いのアンソロジーで1話1話読み心地が違くて、作家性を良く感じられる短編でした。

参加している作家さん達が有名な人ばかりで、読む前から期待が持てましたが、その通りに各話面白い捻り方をしているミステリーで惹きつけられます。

 

中でも好きだったのは米澤先生と大山先生のお話で、トリックや発想は痺れました。

 

米澤先生の話は犯人はほぼ固まっているが殺人方法が分からずにいたが、ヒントは確かに示されていて、いかに思考を飛躍するかが鍵になっていて、登場人物も魅力があり良すぎました。

 

大山先生の話は叙述トリックを上手く使っていて、真相が明らかになった時に衝撃を受けました。確かにその可能性はあったが、犯人の思惑を見抜く過程も的確で面白かったです。

 

そして、辻村先生のコロナ禍を舞台にした青春詐欺は、現実的な問題を絡ませていて着地点に至るまでのモヤモヤがより感じましたが、終わる際の晴れやかな気持ちを抱きました。素晴らしい。実際にどこかで起きていても不思議じゃないのが怖いが、頼る場所に頼るのも大事ですね。

 

人気作家6人の新作ミステリーがいきなり文庫で登場!

現在のミステリー界をリードする6人の作家による豪華すぎるアンソロジー

最愛のひととの別れ、過去がふいに招く破綻、思いがけず露呈するほころび、
知的遊戯の結実、そして、コロナ禍でくるった当たり前の日常……。

読み解き方も楽しみ方も六人六様の、文庫オリジナルの超絶おすすめ本です。


【収録作品】
乾くるみ『夫の余命』
余命わずかと知りながら、愛を誓ったふたりは……

米澤穂信『崖の下』
スキー場で遭難した4人。1人が他殺体で見つかり……

芦沢央『投了図』
地元でタイトル戦が開かれる。将棋ファンの夫は……

大山誠一郎『孤独な容疑者』
23年前、私はある男を殺したのだ……

有栖川有栖『推理研VSパズル研』
江神二郎シリーズ待望の新作!

辻村深月『2020年のロマンス詐欺』
大学生になったけれど、コロナ禍で……