羽休みに娯楽を

読書、主に小説の感想を上げています。たまに、漫画や映画等も。

早川書房

厳冬之棺

表紙、タイトルから面白そうな気配がぷんぷんで読みました。 非常に魅力的なミステリ作品で、今後の作品が楽しみな作家さんですね。密室の不可解さ、序盤から暗示される怪しげな風習、真相が気になる謎でした。 また、登場する探偵が漫画家、助手が声優、2人…

グレイラットの殺人

ワシントン・ポーシリーズ最高。 毎回、最後まで読んで事件の真相に唸るばかり。 前巻の真相に痛めつけられたが、今回はわりとユーモア多めで楽しめました。ポーとティリーのわき道にそれる会話はずっと追っていたい気分になります。タッグ感に磨きがかかっ…

焔【ほむら】と雪【ゆき】 京都探偵物語

大正時代、その時代の背景に乗っ取った男女の関係、人と人の関係を利用したミステリでした。各話の余韻がまた苦い。 現場に出向く探偵鯉城と病弱ゆえに安楽椅子探偵露木。2人の関係は簡単に説明出来るものではない。なんとも感情揺さぶられる関係性。短編形…

ダブル・ダブル〔新訳版〕

見たて殺人でも犯人を誘導していくエラリイの動きは見事でした。犯人に至るまでの思考や調査から、よく犯人を見つけられるなと。今回はなんだが、ふわっとした感じがありましたが、犯人の動機に関してはそう繋がるのかという驚きとそこまでするかという気持…

九尾の猫〔新訳版〕

落ち込むエラリイにダメ出しかけるような、そんな巻でありながらも再び前に向けるようになる重要なエピソードだった。 連続殺人犯と対する警察官達。そこに協力するエラリイ。探偵としてのあり方に迷いがあるエラリイにとってはまたしても…な展開でしたが、…

十日間の不思議〔新訳版〕

毎回のことだけど、ライツヴィルシリーズ作品、どれも読み終えてからの衝撃が重たい。 張り巡らされた伏線を回収して、犯人の真意まで追っていると、ドッと来ます。 馬鹿正直に読んでいたから、真相にたどり着いた時にもっと注意して、考えていればと思いま…

フォックス家の殺人〔新訳版〕

災厄の町が非常に良かったので期待値が上がってましたが、今作も見事なミステリでした。 最後の最後まで気が抜けない物語でした。 今作は過去の状況証拠が揃っていて、裁かれた事件を掘り起こしていき、真実へ辿っていくというもの。状況を追っていき、事件…

プロトコル・オブ・ヒューマニティ

壮絶な物語を浴びたようでした。 SF要素がありつつも本筋は息子と父の関係、ダンサーとしてのあり方が問われていたのかな。 主人公がダンサーとして致命的な怪我をして、AIに頼ることに。その過程で、人間の動きをAIに学ばせるために必要な人間性と再現性が…

災厄の町〔新訳版〕

初エラリイ・クイーン作品でしたが、大満足のミステリでした。 エラリイ・クイーンというのは登場人物の探偵の名前からなのか。 クイーンは食えない奴で飄々と過ごしつつ、要所で頭脳を発揮していて、周りを動かせる能力がある。 会話や言葉のチョイスも良い…

探偵と家族

面白かったです。 軽妙な語りと独特の雰囲気の比喩表現が冴えていて、言葉を頭で飲み込むのが楽しかったです。 癖あり、訳ありの探偵家族が様々な珍事件に首を突っ込み解決していく。その様子を追っているのが楽しくて仕方ない。 夫婦は推理や行動が手慣れて…

そして、よみがえる世界。

あらすじから好きそうだったが、やはり読んで良かったです。 序盤から中盤にかけて物足りない感じがありました。説明が多くて、見えない部分があるのが理由かな。 しかし、中盤以降の謎の種明かしと緊迫した展開にはのめり込めました。 前半の謎だった部分が…

キュレーターの殺人

ワシントン・ポーシリーズの3作品目。 毎回のことだが、厚い。 しかし、それが気にならないくらい夢中になって読めました。 前1.2作品は面白いのだが、読むのに時間がかかっていました。 今巻は場面展開がスムーズだったり、ポーとティリーの関係が安定して…

ブラックサマーの殺人

ストーンサークルの殺人の続編。 今回もボリュームがある1冊だが、飽きさせないハラハラした展開をしていて、楽しく読めました。 ポーが昔捕まえた犯人が実は殺人をしていなかった疑惑があがり、次々とポーにとって悪夢のような状況が整えられていく。 前作…

ストーンサークルの殺人

分厚い1冊だが、読み進めていくうえで必要な分量だったのだなというくらい、情報が詰められているので満足度が高いです。 作品の中心にある連続殺人の方法や規則性はグロいものがありました。 その事件を起こすに至った経緯もモヤモヤするものでしたが、最…

君の話

夏に浸りたくなる作品なので再読しました。 久しぶりに読み返して、初めに読んだ頃は何て思ったのか気になりました。 数年前に一度読んだぶりだったので、忘れていました。 記憶って、いつまでも保持していたいなと思うけど、実際は難しい。 そんな記憶を題…

第八の探偵

発売前からミステリー作家達がTwitterで呟いていて、登場人物が作家と編集者ということで気にならざるを得ない。 数学の理論を用いる作家と編集者が1冊の本に収録されている短編を1話ずつ読み上げて解説していく形式で進む。だから登場人物が作家と編集者だ…

楽園とは探偵の不在なり

斜線堂先生の孤島と館モノのミステリー。 題材が題材だけに作風が硬くなるかと思いきや、2人以上殺したら地獄に堕とす天使がいるというファンタジーさが作品全体に大きく影響を与えていて、不思議と読みやすくなっていました。 主人公の青岸焦はかつて名探…

なめらかな世界と、その敵

去年、2019年に出て、好評だったので読みました。そしたら…(あらすじ)いくつもの並行世界を行き来する少女たちの1度きりの青春を描いた表題作のほか、脳科学を題材として伊藤計劃『ハーモニー』にトリビュートを捧げる「美亜羽へ贈る拳銃」、ソ連とアメリカ…

君の話

君の話作者: 三秋縋,紺野真弓出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/07/19メディア: 単行本この商品を含むブログを見る (内容)二十歳の夏、僕は一度も出会ったことのない女の子と再会した。架空の青春時代、架空の夏、架空の幼馴染。夏凪灯花は記憶改変技術…