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焔【ほむら】と雪【ゆき】 京都探偵物語

焔と雪 京都探偵物語

大正時代、その時代の背景に乗っ取った男女の関係、人と人の関係を利用したミステリでした。各話の余韻がまた苦い。

現場に出向く探偵鯉城と病弱ゆえに安楽椅子探偵露木。2人の関係は簡単に説明出来るものではない。なんとも感情揺さぶられる関係性。短編形式を逆手に取った仕込みやそうした背景がガツンときました。

ちょっとした違和感を見逃してはいけない。

 

最後まで読んで、また、2人の事件捜査、推理が見たいと思いました。シリーズ化熱望。

 

想いの形は時代によって違うのだなと。

 

大正の京都。伯爵の血筋でありながら一族に忌み嫌われる露木の病弱な体は、日々蝕まれていた。だが祇園祭宵山も盛りの頃、露木は鯉城に出逢う。頑強な肉体の彼が、外の世界を教えてくれたから、心が救われた。その時から、露木は鯉城のために謎を解く。それが生きる証…… ある日、鯉城は女から恋人のふりをしてほしいとの依頼を受けるが、恋に取り憑かれた相手の男が月夜に女の家に付け火をし、自らに火をつけて焼死したと聞く。男は猟銃を所持していたが、なぜ苦しい死を選んだ? この事態に悩む鯉城のため、露木はあまりに不可思議な男の死の理由を推理する。 その他「鹿ヶ谷の別荘に響く叫び声の怪」や「西陣の老舗織元で起こる男女の愛憎劇の行方」など、京都に潜む愛と欲の情念はさらに渦巻き、鯉城と露木の二人は意外な結末に直面する。 『刀と傘』で「ミステリが読みたい!」ベストミステリ1位を獲得した著者が仕掛ける、驚愕必至の連作本格探偵ミステリ。